北朝鮮海軍の概要と海軍指揮部

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人民軍海軍司令官金允心上将?

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海軍政治委員金基学中将

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海軍航海副司令官?、海軍技術副司令官?、海軍後方副司令官?、海軍参謀長?

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水上保安隊(1946年6月5日)→海岸警備隊(1947年12月)→人民軍海軍(1949年8月28日)

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司令部:平壌?

 海岸警備隊は、内務省所属だったが、1949年8月28日に民族保衛省(現在の人民武力部)に移管され、正式に「人民軍海軍」として改編された。このため、北朝鮮では、元来8月28日を海軍創設日として記念してきた(国情院公式Webサイトの説明を見れば、1949年8月28日は、魚雷艇隊の公式創設日だと説明している。)。北朝鮮は、1993年以降、水上保安隊創設日(6月5日)を海軍創設日として記念している(詳細な変遷史は、第1-2編参照)。

 共産圏の宗主国である旧ソ連の影響を強く受けた北朝鮮は、全体戦力において海軍が占める比重が微々たるものである。その上、韓国とは異なり、3軍の作戦と行政が統合された統合軍 体制であるために、海軍の発言権は、更に微弱たるものである。北朝鮮軍の編制において、海軍や空軍司令部は、各地上軍軍団と理論的に同格とされている。全般的に、北朝鮮海軍は、空軍に比べてすら差別待遇を受ける3類軍種だったが、海軍司令官出身の金鎰侮汾モェ人民武力相に任命されたのを契機に、発言権強化の機会を得ることになった。

 99年6月、西海南北海軍交戦を契機に、金允心海軍司令官が解任されたと推測されていた。しかし、一部マスコミ報道によれば、1999年9月に金允心が空軍司令官呉琴鉄上将と並んで立つ姿が北朝鮮TVに放映されたという。空軍司令官と同時にTV画面に出て来たのを見れば、金允心上将が 依然として海軍司令官である可能性があるようである。

 金允心は、90年海軍参謀長、90年代中盤西海艦隊司令官を経て、97年に金鎰舞蜿ォの後を受けて、海軍司令官に任命された。海軍政治委員は、金基学中将 として知られているが、現職海軍政治委員は、違うかも知れない。海軍政治委員が正式名称なのか、海軍政治部司令官が正式名称なのかは、良く分かっていない。その他3名内外の副司令官が存在するものと推定されるが、90年代以来、公開資料 において、海軍副司令官の人的事項は、確認されていない。

■海軍司令部の編成

海軍司令部編成図


 上の海軍司令部編成表は、北韓研究所が発行した「北韓軍事論」1978年版と国際問題研究所が発行した『防衛叢書』1986年版を基礎として作成したものである。これら資料の発行時期が1978年と1986年であることにより、現在の海軍司令部の編成とは、差異があることもある。しかし、人民武力部や総参謀部等、上級指揮部の各部署が70年代以来、大きな変化がなかった事実に 照らしてみると、海軍司令部の隷下部署も、大きな変化はなかったようである。

 防衛叢書には、参謀長隷下部署が抜け落ちているが、参謀長隷下部署を除外した他部署の編成表は、両資料が同一である。『北韓軍事論』によれば、参謀長隷下13個部署中の機要部と 変信部は、元来独立した部ではなかったが、最近(1978年基準)独立した部に昇格したものと出ている。金鎰浮フ過去の経歴に海軍副参謀長という職責を見ることにより、海軍参謀長隷下に海軍副参謀長という 職責もあるようである。

 副司令官と参謀長、各部長の階級は、公開された資料で確認することはできなかった。ただ、一部公開された人的事項を土台に見れば、海軍司令官が上将〜大将級で、東西両艦隊司令官が中将〜上将級 であるようである。そうだとすれば、海軍副司令官は少将〜中将級、海軍参謀長は少将級、各部長は、一部を除外して、大部分佐官級であるものと推定される。

■海軍司令部の作戦権限

 『防衛叢書』だけ見れば、海軍司令部編成表内に作戦関連部署が1つも登場しておらず、海軍司令部が純粋な行政司令部だという感じを強く与える。しかし、『北韓軍事論』の「海軍司令部編成表」を見れば、参謀長隷下に 各参謀部署と共に作戦部が出ているのを確認することができる。

 また、北韓軍事論を見れば、「海軍にあっての行政業務と作戦の調整、統制、監督は、海軍司令官に委任されている」と説明されている。また、海軍参謀長は、「上級機関で決定された海軍戦略計画に依拠して、海軍の全体作戦を総監督し、隷下参謀を通して、各種訓練、 財政、人事、通信、偵察業務を管掌している」と説明している。これを土台に見れば、北朝鮮の海軍司令部は、行政的な権限のみならず、作戦的な権限まで持っていることが確実だと言える。

 海軍司令部内の各職制中において特に注目される補職は、海軍参謀長である。航海、技術、後方副司令官は、作戦とは直接的な関連がない補職であることにより、海軍司令部の核心的な 中枢補佐の役割は、海軍参謀長が負っているのであろう。海軍司令官金允心が海軍参謀長→西海艦隊司令官→海軍司令官順に昇進し、前海軍司令官金鎰浮煌C軍副参謀長→海軍参謀長→海軍副司令官→海軍司令官順に昇進したことを見ても、海軍参謀長が核心補職であることが分かる。

 総参謀部において海軍を担当しているものと知られている総参謀部作戦局第7処と海軍司令部の関係は、明らかでない点がある。正確に知ることはできないが、総参謀部作戦局第7処は、陸軍や空軍のような他軍との合同作戦に対する調整や、作戦局の全体的な作戦計画に立脚した海軍作戦の基本指針 提示程度を負っており、海軍司令部参謀長隷下の作戦部において個別的かつ具体的な作戦計画を樹立して、執行する体制のようである。

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最終更新日:2003/05/25

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